原本は何通作成する?
当事者全員の記名押印のある契約書を「原本」と言いますが、通常、原本は当事者の人数分作成して、それぞれが1通を保管することが多いです。しかし、原本を何通作成するかについて、法律に決まりがあるわけではないため、当事者の人数が多い場合には当事者の一部のみが原本を保管し、他の当事者はこれをコピーした「写し」を保管するケースもあります。
契約書が課税文書であれば、原本を数通作成した場合にはそれぞれに印紙税がかかりますが(印紙税については「印紙を貼る必要はある?印紙を貼らないとどうなるの?」をご参照ください。)、原本を複写機でコピーしただけのものについては印紙税がかかりません。そのため、当事者の一部はこのような「写し」を保管することで、印紙税を節約することが可能です。
ただし、契約の成立が裁判で争われた場合には、「写し」は「原本」よりも証拠としての価値が低いと判断される可能性もあるため、自分が「写し」を持つか否かは慎重に検討することをおすすめします。また、原本をコピーした「写し」についても、「写し」に記名押印がされていたり、「正本や原本と相違ない」との契約当事者の証明がなされていたり、「写しであることを証明する」といった記載がある場合には、契約の成立を証明するものとして印紙税がかかるため注意が必要です。
一般的には原本は当事者がそれぞれ1通ずつ保管しますが、印紙税節約のために当事者の一部が原本を保管して、その他当事者は原本のコピーを保管することもできます。ただし、場合によっては裁判で証拠として不利に扱われたり、印紙税が課税されることもあるので注意しましょう。
2016/10/17執筆